熱海新聞/伊豆新聞/伊豆日日新聞(2014年8月24日)

私のクリニックは,土曜日の朝になると子供達の声で満たされます.宿題や学習課題を持ってきて自習を始めます.学年が違ってもお互いに教えあったりしていて和気あいあいです.学習塾と違うのはカウンセラーが同席して言動を観察し,適宜助言を与えていることです.子供のその日その日の目標が完了すると,「箱庭」作りやお絵かきをした後にティータイムとなり軽食を食べて,私が医療面接を実施して終了となります.
この子達の中には心に葛藤を抱え学校に行けなくなった子供達も数多くいます.不登校になった原因・誘因はさまざまで,それぞれの子供側に存在する多様な心の病気(変調)がありますが,その一方では時代の変化もあるのでしょうか,基本には学校の教育機能の劣化を感じます.私は母が学校教員でしたので「鍵っ子」のように育ち淋しい家庭でしたが,他方では小学校から中学校の学校生活は楽しく,担任の先生達の印象はとても鮮烈でどの先生にも優しくして頂き,今でも感謝と思慕の念に堪えません.
「目は心の窓」と言います.窓から家の中がのぞけるように目には心の動きが表れるということです.クリニックに来ている子供達の眼をみていると,澄んだ瞳の中にその悩みも苦しみも表れています.子供の葛藤をくみ取れない私達現代の大人の感性の鈍化があるのかもしれません.本心をのぞかれたくなければ,窓にカーテンを引くようにまぶたを閉じてしまうのですが,この子達は学校では,心の窓を閉ざして生活しているのかもしれません.私は子達に向かいながら出来うる限りの笑顔を作って見せているのですが,心の中は悲しみでいっぱいです.
今は先生達も現代社会のがんじがらめの管理化されたシステムの中で働き,時間の制約もあることでしょう.家庭はもちろん,地域社会全体で学校の教育目標を支える必要があると思われます.地域の皆様に温かい目線で子供達の見守りをして頂くことを期待しております.



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