熱海新聞/伊豆新聞/伊豆日日新聞(2014年5月25日)

 米国の最も古い町であるボストン市の近郊にフラミンガムという人口3万人の町があります.小さい町ですが,現在その名を世界中の医師が知っている有名な町になっています.米国は国家的政策として,このフラミンガム地区の住民を対象に長期間にわたる心臓病や脳卒中の発生調査を実施し,定期的にその研究成果を発表してきたからです.1948年に開始され66年を経過したこの研究は現在も継続中であり,その調査結果は多くの医療関係者の注目を浴びてきました.その成果として心臓病や脳卒中の危険因子として,肥満・高脂血症・糖尿病といった疾患と喫煙・運動不足・食生活の偏りなどの生活習慣があることが判りました.1つ1つは軽症であっても,2つ,3つと重なるとこれらの病気の発症率が急速に高まります.これらの危険因子のうちでも高血圧が最も重視されるべきものであることが分かってきました.フラミンガムと類似した長期にわたる住民の追跡調査がわが国でも行われ,その結果も同様に高血圧が重要な危険因子と判明しました.
 高血圧は自覚症状がないため,「サイレント・キラー(静かなる殺人者)」と呼ばれています.わが国で最も数の多い生活習慣病なのですが,症状が乏しいため見過ごされ放治されることが多い病気としてもトップ・クラスです.
 「血圧」というのは,不思議なものです.測る時間によって数値が異なるばかりか,測る度に数値が違って出てくることは,皆様もよくご存じと思います.日常生活の状態で自動血圧計を使用してまるまる一日血圧を測定した研究の結果,血圧の変動にはいろんなパターンがあることが判りました.特に一番参考になる血圧値は起床直後にご自分で測った血圧(早朝血圧)の値ということも判明しました.
 幸いなことに現在では高血圧の新薬が次々と登場し,中には臓器保護作用(内臓の働きを保つ作用)を持つものまであり,素晴らしい時代を迎えたと思っています.

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